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【スポーツトレーナー】プロ野球トレーナーの仕事|ストレングス&コンディショニング担当編

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学生

プロ野球チームでストレングス&コンディショニングを担当するトレーナーの仕事内容を教えてください!

ぴーすけ

この記事ではプロ野球トレーナーのストレングス&コンディショニング担当の仕事について解説しますね。

どんな資格が必要なのか?

ぴーすけ

主に下記のようなスポーツトレーナー資格が必要になります。

ストレングス&コンディショニングとは

ぴーすけ

ストレングスとは神経-筋系の能力と定義され、コンディショニングとは体力要素を総合的に調整することと定義されます。

ウォーミングアップ・クールダウン

ぴーすけ

ウォーミングアップとクールダウンはとても重要な仕事のひとつです。

「何を目的としてやらせるのか?」を考えて行っていくことが重要です。

ウォーミングアップ

ウォーミングアップには主に2つの目的があると思っています。

  1. の準備
  2. 身体の準備

この二つの要素を決められた時間内に整えられるプログラムを組むことが重要です。

この2つが整ってから技術の準備をコーチングスタッフが担当することでスムーズにゲームに臨めるようになります。

心の準備

心の準備に関しては選手の動きを見ながら声をかけたり、音楽をかけたりしながらゲームに向けた準備を促していきます。

調子を落としている選手に対しては「どのような対応をしてほしいのか?」ということを考えて行動するようします。

  • 声をかけて励ましてほしい選手
  • 放っておいてほしい選手
  • ただ見守っていてほしい選手

様々なタイプの選手がいるので普段のコミュニケーションから選手のタイプを把握しておくことが重要です。

身体の準備

身体の準備に関しては下記の3つ全ての準備が整うように促していきます。

  • 筋骨格系
  • 呼吸/循環器系
  • 感覚器系

特に重要だと考えているのが感覚器系の準備です。

人間が外界の情報を得て行動につなげるのためには感覚器系が正常に働いてくれていなければ不可能です。

野球に限らずスポーツにおいて視覚、前庭感覚、体性感覚のウォーミングアップは必須です。

  • プレーにおける視覚の準備ができているか?
  • 視覚が無くても前庭感覚や体性感覚で身体がどのような状態か把握できるか?

筋骨格系や呼吸/循環器系だけでなく、感覚器系の要素も取り入れたウォーミングアップを意識してみてください。

クールダウン(リカバリー)

クールダウンの目的は翌日に残る疲労を最小限にするです。

クールダウン(リカバリー)には大きく分けて2つの種類があります。

以前は練習後にクールダウンと称してジョギングストレッチ(アクティブリカバリー)を行うのが一般的でした。

しかし、最近ではアクティブリカバリーに対して否定的な意見も出てきています。

特に遅発性筋肉痛(DOMS)と呼ばれる筋肉痛やトレーニング後の筋力回復には運動直後のアクティブリカバリーの効果は無く、パッシブリカバリーには効果があったとの報告もあります。

こういった背景からアイスバス交代浴といったパッシブリカバリーを積極的に行うように促しています。

ただ、ここで忘れてはいけないのが睡眠栄養です。

リカバリーを図るために睡眠時間を削ったり食事を疎かにしてまでパッシブリカバリーを実施するのは本末転倒です。

目の前の選手に対して何が必要か?優先順位をつけて実施していくことが重要です。

下記のデバイスを用いると睡眠の質などを客観的にみることできます。

コンディショニング

ぴーすけ

最も重要で難しい部分です。

選手のカテゴリが様々な中でチーム全体のプログラムを組むのが最も重要であり、難しい部分です。

下記のようなカテゴリーで分けて種目本数/回数を決めていきます。

コンディショニングの中心でもあるランニングプログラムエクササイズプログラムに関して触れていきます。

ランニングプログラムもエクササイズプログラムも目的を明確にすることが重要です。

ランニングプログラム

主に以下のようなことがランニングプログラムの目的になります。

ランニングプログラムでは様々な負荷に対する耐性をつけたり、コンディションの維持、パフォーマンスアップを目的に行うことが多いです。

また、課題として与えた運動を「制御された動作で遂行できるか」を大切にしています。

  • エンデュランスであれば長時間目的の運動を制御できているか?
  • パワーであれば大きな力を発揮する際に運動を制御できているか?
  • スピードであれば目的とする運動を制御下で速く行うことができるか?
  • アジリティであれば予測できない課題が課された場合でも運動を制御できるか?

例えば、短い時間であれば綺麗なフォームで走れるが、長時間になるとフォームが崩れてしまう場合ではフォームが崩れた中で長時間走らせ続ければ障害のリスクが高くなります。

「より難易度の高い課題に対して制御下で行えるかどうか?」

こういった視点でランニングプログラムを考えてみるといつもと違ったアプローチが見えてくるかもしれません。

エクササイズプログラム

主に以下のようなことがエクササイズプログラムの目的になります。

1つの目的を達成するためのプログラムもありますし、目的を組み合わせたものもあります。

また、エクササイズプログラムは選手の状態を先読みして実施していくことが重要と考えています。

野球に限らずスポーツではポジションや年齢、時期などによって起こりやすい障害がある程度決まっている場合もあります。

それに対して先手を打って障害予防やパフォーマンス維持を目的にプログラムを組むようにしていきます。

また、同じプログラムであっても環境を変えて実施させることも重要です。

スポーツは様々な環境でゲームを行い、環境に合わせて自分の身体をコントロールしていく必要があります。

そのためエクササイズでも環境に変化を与えながら行っていくことが必要です。

  • 道具の重さを変える
  • 道具の形状を変える
  • 道具の色を変える
  • サーフェス(地面)の素材が異なる場所で行う
  • サングラスや閉眼など視覚に変化を与える
  • 流す音楽に変化を与える

同じ場所、同じ道具、同じエクササイズをしていると、別の環境では上手くできないということが起きてきます。

環境に合わせて自分の身体をコントロールできるように様々な工夫をしてみてください。

ウエイトトレーニング

ぴーすけ

ウエイトトレーニングはカテゴリ毎に対応が変わります。

プロ野球選手のウエイトトレーニングの実際

若手強化選手

20代前半ぐらいまでの選手がここに当てはまります。

選手の経歴(高卒・大卒・社会人卒)等によってウエイトトレーニングの知識には大きな差があります。

自分自身でウエイトトレーニングのプログラムを組んで計画的に実施できる選手もいれば、全く知識もなくプログラムを組むどころか種目すら知らない選手もいます。

こういった選手たちに基本的なことを伝えるため、トレーナーが種目やプログラムの組み方を伝えていきます。

そこではトレーニングの方法だけでなく、トレーニングルーム内にある器具の使い方やマナーなども伝えます。

経験を積むと「どんなトレーニングをしたいか」が明確となってきて自分でプログラムを組んで実施したり、外部のジムでパーソナルトレーナーにトレーニングを実施してもらったりするようになっていきます。

ここまで来ればウエイトトレーニング中の安全管理や部分的なアドバイスをするだけでよくなります。

中堅~ベテラン選手

20代後半以上の選手がここに当てはまります。

中堅~ベテランの選手たちはウエイトトレーニングに対する考え方に差が出てきます。

  • オールシーズン定期的にウエイトトレーニングを実施する選手
  • オフシーズン中シーズン中不定期にウエイトトレーニングを実施する選手
  • オフシーズンのみウエイトトレーニングを実施する選手
  • ウエイトトレーニングを全く実施しない選手

選手のカテゴリーによっても変わってきますがこの4つのパターンのどれかに当てはまることが多いです。

その選手がウエイトトレーニングに対してどのような考えをもっているのかを知ったうえでコミュニケーションをとっていくことが重要です。

ワークロード管理

ぴーすけ

ワークロードという言葉が一般的に聞かれるようになってきましたね。

ワークロードというのは「運動の強度×運動の量」のことで、いわゆる負荷量です。

この考え方が広まる前までは選手の主観に頼っている場合が多く、事実と大きく異なることもありました。

ワークロードは負荷量が数値化されるため、客観的に選手個々の負荷量を把握してコーチングスタッフに共有することができます。

トレーナーとしても負荷量の多い選手から優先的にケアやトリートメントを受けさせることができるので障害予防にもつながっていきます。

負荷量を可視化

ワークロード(負荷量)を可視化する方法の1つ「A:C Ratio」を紹介します。

「A」はAcute workload(急性負荷)のことで、「C」はChronic workload(慢性負荷)のことを指します。

A:C Ratio急性負荷を慢性負荷で割ったものです。

4週間の慢性負荷(負荷耐性)に対して1日の急性負荷がどれくらいか?というのを数字で表したものになります。

投球強度を客観的に把握するためのデバイスもあります。

障害予防やリカバリーにつなげる

A:C Ratioは低くなり過ぎても、高くなり過ぎても怪我のリスクが高くなると言われています。

シーズン中はゲーム出場有無によってA:C Ratioの値は大きく変化し、オフシーズンシーズンイン直後にも練習環境の変化によって大きく変化するため注意が必要です。

  • オフシーズンに入って練習の強度を落とし過ぎる(A:C Ratio=0.8以下)
  • シーズンイン直後にオフシーズンを大きく上回る強度で練習する(A:C Ratio=1.5以上)

ワークロードを可視化することでチーム全体で選手を管理できるので障害予防につながります。

A:C Ratioが1.5以上0.8以下のアラートが出た選手に対して練習量やトレーニング量、ゲーム出場機会などを調整し、リカバリーを促せる体制づくりが理想です。

選手育成・強化

ぴーすけ

チームの底上げには必須の部分です。

プロ野球のチームでは毎年、ドラフト会議で5名10名前後の選手が指名されて入団してきます。

その中には大卒や社会人卒などの即戦力の選手もいれば、高卒のため育成・強化が必要な選手もいます。

育成・強化が必要な選手に対して数年計画でプランニングし、先導するのがストレングス&コンディショニング担当の仕事でもあります。

ここで重要なのはフィジカル(身体)だけの育成・強化ではないということです。

選手の育成には下記のような要素があります。

  • フィジカル(身体)
  • メンタル(精神)
  • パーソナリティ(人格)
  • スキル(技術)

トレーナーだけで全てを網羅して選手を育成することは困難なので他スタッフと連携が重要になります。

  • チームとして数年後どういった選手に育てたいか?(レギュラー?リザーブ?)
  • 目標の選手になるために足りないスキルは何か?
  • 目標のスキルを達成するために足りないフィジカル・メンタル要素は何か?
  • 人として足りない部分は無いか?

他スタッフとコミュニケーションをとりながらトレーナーが先導して進めていきます。

コーチングスタッフとの連携

ぴーすけ

簡単なようでとても難しいです。

プロ野球チームのコーチングスタッフは元プロ野球選手が多いですし、トレーナーはほとんどが元プロ野球選手ではありません。

バックグラウンドが違って考え方も違う部分が多く、その間をコミュニケーションで埋めていく必要があります。

練習時間のスケジューリング

ゲーム前の練習時間は事前に決められており、効率的に練習とコンディショニングの両方を行っていかなければなりません。

そのためには事前にコーチングスタッフとコミュニケーションをとってコンディショニングを行う時間をスケジューリングしておくことが重要です。

コンディショニング種目を行う上で下記のようなことを事前に伝えておきます。

  • 時間はどれぐらいかかるか?
  • どれぐらいのスペースが必要か?
  • 何を目的として実施するのか?
  • 全員同時に行うのか?個別に行うのか?
  • 全選手同じ種目か?カテゴリ毎に違う種目か?

また、雨天で練習場所が変わってスペースや時間を変更しなくてはいけなくなったときに臨機応変に対応できる力も重要になってきます。

練習とコンディショニングの負荷量のコントロール

コーチングスタッフの考えている練習メニューを聞き、その負荷量に合わせてコンディショニング種目のコントロールを行っていきます。

ただ常に練習メニューに合わせてコンディショニング種目決めていると適切な負荷量が不足してしまうこともあります。

  • 練習時間が長くウエイトトレーニングに割ける時間がない
  • 練習で疲れ果ててしまいウエイトトレーニングの質が下がってしまう

これでは選手の成長にはつながらないので時には練習時間を短くしてもらったり、練習前にウエイトトレーニングの時間を作ってもらったりすることが必要になってきます。

こういったコーチングスタッフとのコミュニケーションもストレングス&コンディショニング担当の仕事になります。

まとめ

ぴーすけ

プロ野球トレーナーのストレングス&コンディショニング担当の仕事についてまとめます。

学生

ありがとうございました!