プロ野球のトレーナーになるためには何が必要ですか?
この記事ではプロ野球のトレーナーになるために必要なことについて解説しますね。
理想のトレーナー像を明確にする
自分が「選手の何をサポートしたいのか?」を明確にしましょう!
ラーメン屋を開きたいと思っても「そもそも何味にするの?」ってなりますね。
プロ野球のトレーナーも選手の何をサポートしたいのかによって必要な資格が異なります。
- メディカル担当
- 選手のケアやトリートメント
- ストレングス&コンディショニング担当
- 選手のトレーニング指導
- リハビリテーション担当
- 怪我をした選手のリハビリをサポート
メディカル担当
主に下記のような医療系資格が必要になります。
- 理学療法士
- 柔道整復師
- 鍼灸・あん摩マッサージ師
メディカル担当は選手のケアやトリートメントの仕事が中心となります。
ケアやトリートメントするにあたって身体の状態を把握することやリカバリーを目的としたマッサージの技術が必要になってきます。
ただし、選手のケアやトリートメントだけで良いわけではなく、テーピングやスポーツセーフティ、エクササイズ補助などグラウンドでの仕事もあります。
ストレングス&コンディショニング担当
主に下記のようなスポーツトレーナー資格が必要になります。
- JSPO-AT
- BOC-ATC
- NSCA-CSCS
- NASM-CPT/PES/CES
ストレングス&コンディショニング担当は選手のウォーミングアップ、ランニング、ウエイトトレーニングの仕事が中心となります。
1軍でゲームに出ている選手に対しては身体のコンディションを整えることが求められ、2軍や育成選手に対しては身体を強化していくことが求められます。
ただし、グラウンドの対応だけではなく、時にはテーピングや選手のケアなどを行うこともあります。
リハビリテーション担当
リハビリテーション担当はメディカルとストレングス&コンディショニングの両方の要素が求められます。
理学療法士やBOC-ATCが担当している球団が多いですが、中にはメディカル担当と同様の資格で担当している場合もあります。
ベッドサイドでのメディカルリハビリテーションと復帰に向けたアスレティックリハビリテーションが求められます。
アスレティックリハビリテーションではエクササイズやウエイトトレーニング、ランニングなども行わせていく必要があります。
どうやって入団するの?
公募している球団もある
球団ホームページなどで公募している球団もあります。
以前は公募している球団はほとんどなく、知人からの紹介でしか入れませんでした。
しかし、今では公募する球団が増えてきています。
過去に公募した球団を紹介
過去の募集にはなりますが、ざっと調べただけで下記の3球団の募集を見つけることができました。
北海道日本ハムファイターズ
埼玉西武ライオンズ
千葉ロッテマリーンズ
知人の紹介でも公募でもそうですがタイミングが重要です。
「球団所属のトレーナーが辞める」または「トレーナーを増員したい」というタイミングでしか募集はありません。
タイミングが来た時にチャンスを掴めるように毎日コツコツ準備しておくことが重要です。
入団試験の体験談
ほとんどの場合、試験はあると思います。私の体験談を紹介します。
球団に所属しているトレーナーと知り合いであっても試験はあると思います。
私が経験した実際の試験内容と入団までの流れを説明します。
- 書類選考
- 1次面接
- 実技試験
- 最終面接
書類選考
欲しい人材の条件に当てはまっているのか確認するためです。
書類選考では球団が求めている人材と大きな齟齬がないかを確認している場合が多いです。
例えば、下記のような情報であれば履歴書を確認すればわかります。
- 年齢は25~30歳まで
- 医療系国家資格保有者
- トレーナー経験の有無
- 球団トレーナーからの推薦の有無
この時点で求めている人材から大きく外れる場合には不採用となるのです。
いざ、履歴書を送る段階になったときにアピールできることが何もない!なんてことにならないようにしたいですね。
1次面接
まずは1次面接です。
書類選考を無事に通過すると次は球団の人事部の方との1次面接でした。
- なぜ応募したのか?
- あなたを採用したら球団にどんなメリットがあるのか?
- あなたの強みと弱みは?
- あなたが今までに経験した成功と失敗は?
- 今まで何を頑張ってきたのか?
- 年俸はいくら欲しいのか?
上記のようなことを質問されて面接終了後にその場で1次面接の通過を伝えられました。
書類選考を行っているため、余程のことがない限り、ここで落とすことはないんだなと感じましたね。
試験後、次の実技試験に関する説明を受け、日程を決めて帰宅しました。
実技試験
次に実技試験です。
実技試験ではマッサージ、テーピング、エクササイズ指導を行いました。
マッサージ
マッサージは球団のトレーナーの方の身体を借りて行いました。
評価していたのは鍼灸・あん摩マッサージ師の方だったので、理学療法士の私のマッサージはレベルが低かったのではないか?と思います。
テーピング
テーピングは足関節捻挫を想定して固定する巻き方とサポートを目的とした巻き方の2種類を実施しました。
これに関しては予想していた内容であり、目をつぶってでも巻けるぐらい練習していたので自信をもって巻けたのを覚えています。
エクササイズ指導
エクササイズ指導は実際に選手がトレーニングしている場面に案内してもらい、選手に対して体幹エクササイズを2種類指導するという内容でした。
これは予想外で肩肘に対するトレーニング指導をイメージしていたので焦りました。
頭が真っ白になってどんなエクササイズを指導したのかはっきりとは思い出せません。
エクササイズ指導に関しては事前に調べておくことができる可能性もあります。
球団や選手のTwitterやInstagramにトレーニング風景の写真が掲載されていることがありますよね。
そこには…
- 具体的なトレーニングの内容
- 道具は何を使っているのか?
- 選手が個人的に通っているトレーニングジムの情報
などが載っている場合があります。
そういった情報から球団や選手が行っているトレーニングについて事前に調べておくことで試験の際に有利になることは間違いないです。
最終面接
最後に最終面接です。
最終面接は球団の”フロント”と言われる偉い方々との面接でした。
後から聞いた話ですが、この面接に行ったのは私一人で最終確認だったようです。
当然、そんなことは知りませんから試験の中で一番緊張したのを覚えています。
スポーツトレーナー経験は必要?
スポーツトレーナーの経験はあった方が評価されるのは間違いないですね。
特に社会人や大学生などのハイレベルな選手たちをサポートしていると評価も高いです。
スポーツ現場なのでトレーナー経験が「ある」のと「ない」のでは採用に差がついて当たり前です。
同じ様な経歴の方がいたらトレーナー経験がある方を採用することが多いように思います。
医療系資格をすでに持っている方
野球だけでなく、スポーツチームのサポートができないか探してみると良いでしょう。
契約が必要なのであれば、まずは少額の契約で良いと思います。
自分の時間を削ってでもトレーナー活動をする価値はあると思いますし、私も最初はコンビニのバイトの時給ぐらいでスポーツチームのサポートを始めました。
今の損得を考える前に将来のことを考えて行動することが大切です。
医療系資格を取っている途中の方
通っている大学または専門学校の先生にサポートできるチームが無いかどうか相談してみても良いでしょう。
大学または専門学校の先生であればトレーナー経験がある方もいると思うので見つかる可能性が高いと思います。
今日から始められること
「思い立ったが吉日」で今すぐにでも行動に移しましょう!
ここでは今日から始められることをまとめてみました。
公募している球団がないか調査
最も簡単にインターネットに接続する環境さえあればできます。
ポイントとしては…
- 過去に公募している球団を調査
- 来季のチーム編成を考え出す9月~11月頃に募集が出やすい
2月の春季キャンプからチームに加わることが条件となる球団もありますので合わせて確認しておくと良いかもしれませんね。
+αの資格取得
医療資格のみしか無い方は+αでトレーニングに関する資格を取得するのがオススメです。
私も入団してからトレーニングについて学びたいと思い、NASM-PES、NASM-CESの資格を取りました。
なぜこの二つの資格にしたかというと…
- 基礎からトレーニングを体系的に学べる
- オンラインで受講可能
- 教科書は英語だがテキストを日本語訳してくれている会社がある
- 映像資料付き
- 海外でも認められている資格
といったところにメリットを感じて取得しました。
学校に通わなくてもよく、1年という期限はついているものの自分のペースでオンラインで学ぶことができたのはとても良かったですね。
また、NSCA-CSCSやNSCA-CPTもオススメです。
すでに医療系資格を保有していてトレーニングに関連する資格も追加でとりたい!という方はトレーニングに関する資格取得を視野に入れましょう。
春季キャンプインターンに参加
ほとんどの球団が春季キャンプではインターンを受け入れています。
球団ごとに仕事内容は多少違うとは思いますが…
- トレーナー業務の補助
- 選手のケアやトリートメントの補助
- 選手のトレーニングやエクササイズ補助
こういったことを春季キャンプの1か月間経験することができます。
実際の現場を経験できる以外にも球団に所属しているトレーナーと交流できるという大きなメリットがあります。
そこで優秀な人材と感じてもらえれば、退団者が出た際に真っ先に声をかけてもらえたりもします。
私が知っている範囲で春季キャンプのインターンから実際に入団した方も数名います。
1か月間という長い時間になるので仕事をしている方は難しいかもしれませんが一度検討してみてください。
過去の募集にはなりますが、下記の募集を見つけることができました。
横浜DeNAベイスターズ
履歴書を送る
球団によっては募集はしていないけど、良い人材がいたら採用したいと思っている場合もあるようです。
なので、とりあえず履歴書を送っておいても損はないのではないか?ということです。
そこから返事が来て採用されたという話を聞いたこともあります。
球団によっては「今すぐは採用できないけど、退団者が出たら採用したい」なんて場合も大いにあり得ます。
退団者が決まるのが遅くなって次シーズンまで時間が無い場合は直接連絡する場合もあります。
可能性を広げておくという意味でやる価値があると思っています。
返信がないからと言って凹む必要はありません。「ダメで元々」で送ってみるのです。
まとめ
プロ野球のトレーナーになるために必要なことをまとめます!
- 「自分が何をしたいのか」を知る
- ケアやトリートメント→メディカル担当
- トレーニング指導→ストレングス&コンディショニング担当
- リハビリをサポート→リハビリテーション担当
- 公募する球団も増えてきているので情報収集する
- 入団には試験があることが多い
- 書類選考
- 1次面接
- 実技試験
- 最終面接
- スポーツトレーナーとして現場経験を積んでおく
- 今日から始められることもたくさんある
- 公募している球団がないか調査
- +αの資格取得
- 春季キャンプインターンに参加
- 履歴書を送る
ありがとうございました!